京都大原の名刹、楚々とした「寂光院」に参詣した時の記憶を染帯に閉じ込めました。
寂光院は、平家物語の悲劇のヒロイン、平徳子(建礼門院)が29歳にて出家し、平家と安徳天皇の菩提を弔い、静かに余生を送った場所です。
建礼門院が生きた時代は、宮中の治世の終焉で、武家の台頭と、源平の栄枯盛衰の激動の時代でした。
隆盛を誇る平清盛の娘として生まれた徳子は、高倉天皇に入内し中宮となりますが、相次ぐ高倉帝の崩御、清盛の逝去で急速に力を失った平家は西へと落ちのびます。そして終に壇ノ浦へ・・・。
後白河院が後に寂光院へ行幸された時、権勢を誇ったかつての中宮のあまりに侘しい住まいに落涙されたとか。
私がお参りした時は、まだ暑さの残る晩夏でしたが、境内に咲く秋海棠が印象的でした。
また、大原原種の「大原菊」が苔生す境内に顔を覗かせていました。
厳寒の大原で、雪に閉ざされ幼子と親族を亡くし天涯孤独となり、華やかな宮中から寒村の庵主となった彼女の祈りの生活に、一筋の月光が射し、四季折々の花に心癒されることがあったら良い…と、祷を捧げて参りました。
今や夢 昔や夢と まよはれて いかに思へど うつつとぞなき
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【 ご着用シーン 】
「大原御幸」「平家物語」など、建礼門院徳子の生きた時代を偲ぶ演目に因んで。
琵琶の会、朗読の会などに。
大原菊や秋海棠、月を描いておりますので、初秋にお締め頂くのが良いかと思います。
前柄はどんな着物でも合わせやすいよう遠山のみと致しました。
遠山は弔いのお席にも使えるお柄です。
刺繍も銀糸で入れましたので、正式な法事ではない偲ぶ会などにもお使い頂けます。
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【伝統色のパーソナルカラー、秋、秋好中宮】
ソフトオータムさん、もしくはサマーさんにお勧めです。
染帯 | 塩瀬 生成 寂光院
- 素材 正絹
- 季節 袷
- TPO 観劇、お出かけに