万葉集に、
「 葦辺には 鶴がね鳴きて 湖風 寒く吹くらむ 津乎の崎はも 」
と詠まれた全国有数の葦の産地、近江八幡市は、琵琶湖水系最大の内湖・西の湖に面し、安土城を臨む水郷巡りを楽しめる場所です。
葦は古来、高級夏用建具や萱葺の材として、幅広い用途に利用されてきました。
芽吹きの頃は葭、夏は藘、秋は葦と、生育状況に応じて字も変化していきます。
四、五mも伸びるという夏の旺盛な繁殖時期には、行々子(ヨシキリ)が葉を束ねて営巣します。
琵琶湖疎水を渡る舟から見た夏の葦、そして吹雪に揺れる冬枯れの葦。
西の湖は、内湖の為に湖面も凪いでおり、時折立つ波もさざなみです。
疎水舟は江戸時代の帷子古裂を切付とし、湖面を渡る風になびく葦を、近江の水と植物で染めた京繍仕上げとしました。
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【 近江上布とは 】
江戸時代に経緯大麻で績まれ生産された「 高宮布 」。
高宮とは、中山道の宿場町「 高宮宿 」のことを差します。
江戸時代、徳川四天王の井伊家(彦根藩)の守護を受け、高宮宿周辺の愛荘町や犬上郡エリアで生産された麻布は、近江商人によって日本全国に行商され、一大産地となりました。
伊藤忠や丸紅の創業者・伊藤忠兵衛によると、一日で数万反を発送する程の生産量を誇っていたそうです。
中でも最も細い糸で績まれた麻布は「 白高宮布 」と呼ばれ、井伊家の橘紋が反物に押されて品質保証となりました。
豊臣秀吉が母大政所の延命を祈願したという「 多賀大社 」や、八代将軍・吉宗の節句に献上され、「 細美なる布 」と賛辞を受けています。
こうして彦根藩のブランディングと、近江商人による流通力で、中山道を東西に駆け抜けた近江上布でしたが、戦後原材料の大麻の入手が困難になったことや、着物の需要減少により、今では絵図には残るものの制作方法がわからない「 幻の布 」と呼ばれています。
こちらの生地は、古式の伝統技術を保存継承されていらっしゃる、「 近江上布伝統産業会館 」( @omijofu )さん作の高機で織られた布を使用しています。
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【 使用植物染料(刺繍糸) 】
江戸時代の文献に、澄んだ黄色を出す最上の刈安は、伊吹山産とあります。
伊吹山は古生代ペルム期(約二億九千万年前)に発生した白い石灰岩で覆われた土壌で、織田信長が開いたと伝説の残る薬草園に、今でも二百種を超える薬草が栽培されています。
その伊吹山産の刈安を、色を失うとされる穂が出る前に刈り取り、良質な水で知られる針江地区で春分の日に採取した水で刺繍糸を染めました。
黄:伊吹刈安(水:針江)
生成:高島市産ヤシャブシ(水:針江)
紫:紫根(水:宮崎県高千穂)
藍:藍(水:宮崎県高千穂)
縁:藍+伊吹刈安(水:宮崎県高千穂)
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※こちらの帯は、関東巻のみに柄付けをしております。
関西巻は無地になりますのでご注意ください。
※仕立て上がりにてご提案の商品です。
寸法は、総丈9尺8寸、腹4寸3分、幅8寸2分です。
※植物染料を使用しておりますので、直射日光に当てずに保管してください。
お手入れの際は弊社にて承ります。
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【 ご着用シーン 】
お出かけ、観劇に。
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【 伝統色のパーソナルカラー、秋、秋好中宮 】
こちらは、深い味わいある色の映えるオータムさんにお勧めです。
【 採花譜|花染衣 】染帯 | 近江上布 鼠地 疎水舟古裂切付に葦
- 素材 経糸:ラミー、緯糸:手績み大麻糸
- 季節 夏単衣
- TPO 観劇、お出かけ、月釜に
購入を検討してくださっている方も、写真だけでは質感や実際の色がわからずご不安に思われていらっしゃると思います。
もし蓮佳アトリエにご来訪頂くか、展示会及び出張先にご足労頂ける方、及び関西圏(愛知から兵庫まで)ご在住でご自宅訪問可の方は、実際の品をご確認頂けるまで、一週間の期間でお取り置きをさせて頂きます。
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お手元で確認して頂き、イメージと違いましたら往復の送料・梱包手数料(一律1,100円)、カード決済の場合は決済手数料を差し引いた金額を返金させて頂きます。
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