月虹舎文庫 @gekkosha.bunko_books 発刊の書籍、『 此君亭好日|しくんていこうじつ 』 @shikuntei_koujitsu にて、文・写真を手掛けられた 渡邊 航 さんが過去に手掛けて来られた書籍をご紹介します。
どの本も、「 花を境に、花に游び、花を鑑とす 」人々の、「 人生の花 」を映した珠玉の作品集です。
ーーー
『花政のしごと』
創業は、文久元年(1861年)。
年中無休。
開店は朝9時から、夜18時まで。
これだけでも、京都で和花といえば「花政さん」と、京都中の人々から厚い信頼を得ている花屋さんであることをお解り頂けることでしょう。
馴染みの和食店で修業されていたお弟子さんが独立されると聞けば、胡蝶蘭など贈ってはいけません。
まずは花政さんに相談です。
「ああ、○○さんで修業された○○さんやね、今色々お祝い聞いてますよ。ほんなら、ええ枝ぶりの季節の寄せ植えにしときましょか、器は洒落た焼きもんでね」
とお任せできたらこれで安心。開店時にずらっと並ぶ花に、店主のこれまで培った努力と人とのご縁が現れるのですから。
そこに花政さんの寄せ植えがあれば、道行く人も「お、ええ店できたな」と、目印にもなろうものです。
「明日活けるお花がない!」と慌ててお店に駆け込むと、いつでも、どこにどんな花器で活けるのか、花の持ち具合、枝ぶりの角度まで、一本一本相談しながら選ぶことができます。
そうしているうちに花の名を覚え、季節を知ります。
お客様のお好みを考えながら、花を養い、良い姿でお迎えできるよう、心を配ります。
花政さんから教わることは、花の名のみならず、まさに「お客様迎えの心意気」なのです。
そんな花政さんの活け込みの仕事を網羅した本書では、老舗から洋食店、モダンアートのギャラリーまで、幅広い仕事を見ることができます。
ラストを飾る、代表・藤田修作さんの「一材の花」を初めて拝読した時、「世の中に、こんな花を活けられる人がいはんのか。もう仙人の花やんか」と感じました。
飄々とした佇まいのお人が活ける、風のような花。
あるがまま、自在に。
天衣無縫の花の姿は、きっと見る人の心をほどく、澱をも溶かすものになるに違いありません。
ーーー
企画・編集 渡邊航
写真 野口さとこ
発行 株式会社 青幻舎
書籍 | 『花政のしごと』
送料税込550円
15,000円以上お求めの場合送料無料