拝見した瞬間、「可愛い〜!何と素敵な!!素晴らし過ぎです!!!」と絶叫(本当に迷惑)した、「匂宮」と銘がつけられた袋帯をご紹介します。
近景は春の咲き初めの花弁の光に透過する可憐な表情。遠景は吉野山を見渡す空に搔き消えるような桜の遠山の情景を描いた、絵画のような美しさを持つ帯です。
桜の色だけで濃淡8色も使われており、また日の光が当たる花弁の部分は銀糸によって透明度を増す工夫がされています。
だからこそこの妙なる桜の濃淡が表現できるのでしょう。
そこまでする色使いも感服しますが、さらに桜花の立体感を表現するため、紫紘さん独自の技術「倍越」により、一越の間に2倍の糸を織り込んでいます。
桜の花のふっくらとした表情は、こうした緻密な色出しと技術力によって支えられているのです。
私がこの帯に特に心惹かれるポイントは、締めると近景遠景で青磁の山取り濃淡ができることと、お腹の柄がわざと上めに柄付けされており、桜が枝垂れかかる様子を表現できることです。
空間使いの達人である紫紘さんならではの、抒情的な帯ですね。
また、地色も薄い青磁色の為、お洒落感も演出してくれます。
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西陣織の名門、「紫紘」。
源氏物語絵巻を西陣織で表現するという途方も無い仕事をライフワークとされ、素晴らしい帯の数々を残された故・山口伊太郎氏が創設した言わずと知れた名門の織匠。
西陣織の芸術性、創造性を極限まで高めた人物として、西陣ではその名を知らぬ人はおりません。
紫紘さんの帯のファンの方もたくさんいらっしゃる事でしょう。
伊太郎氏が突き詰めた表現を、確実に、着実に受け継ぎながら、日々現代の意匠を取り入れ新しい創作を続ける紫紘さんの帯。
「あぁ、ええ仕事っていうんはこういう事なんや。」と腑に落ちる、引き算の図案と選び抜かれた糸の配色。
それを身に纏う喜びを是非感じて頂きたいと思います。
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【 ご着用シーン 】
お出かけ、茶会、結婚式、パーティー等に。
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【 伝統色のパーソナルカラー、夏、花散里 】
サマーさんにお勧めの配色です。
ウインターさん、スプリングさんにもお似合いです。
袋帯 | 紫紘 匂宮
- 素材 正絹
- 幅 8寸2分仕上がり基準
- 季節 袷
- TPO 礼装に