源氏物語 第21帖「乙女」に、秋好中宮が紫の上へ贈る歌があります。
「 心から 春待つ園は わが宿の 紅葉を風の つてにだに見よ(心から春がお好きなあなたのお庭は、紅葉の盛りの今、春に咲く花もなくお寂しいことでしょう。私の庭の紅葉をご覧になってください)」
それに対し、春を愛するひと、紫の上は、
「 風にちる もみぢはかるし 春の色を 岩根の松に かけてこそ見め(風で散ってしまう紅葉は重みがありません。それに比べ、岩根の松こそ永遠の春の色です)」
と、春の花材が手に入らない季節に常盤の松の枝を差し替えて詠み返します。
額田王が秋を好むと詠った万葉の時代から、春が優れているか秋がより美しいかを競う「春秋論争」は繰り返されてきました。
この紫の上のとっさの機転と見事な趣向により、源氏物語の中では春を象徴する紫の上の人間性と聡明さに皆感嘆し、春に軍配が上がります。
六条院にある2つの町にかかる渡殿の反橋を、美しく着飾った女童たちが和歌を携え行き来する情景が浮かぶような、美しい意匠の袋帯です。
地は金彩を梨地に吹いた引箔を織り込み、雅な世界を演出しています。
春秋の帯は縁起物です。
時期的にもお茶会や結婚式が多い時ですので、パーティーなど華やかな場所でお召しください。
西陣織の名門、「紫紘」。
源氏物語絵巻を西陣織で表現するという途方も無い仕事をライフワークとされ、素晴らしい帯の数々を残された故・山口伊太郎氏が創設した言わずと知れた名門の織匠。
西陣織の芸術性、創造性を極限まで高めた人物として、西陣ではその名を知らぬ人はおりません。
紫紘さんの帯のファンの方もたくさんいらっしゃる事でしょう。
伊太郎氏が突き詰めた表現を、確実に、着実に受け継ぎながら、日々現代の意匠を取り入れ新しい創作を続ける紫紘さんの帯。
「あぁ、ええ仕事っていうんはこういう事なんや。」と腑に落ちる、引き算の図案と選び抜かれた糸の配色。
それを身に纏う喜びを是非感じて頂きたいと思います。
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【 ご着用シーン 】
結婚式、茶席、パーティー等に。
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【 伝統色のパーソナルカラー、春、玉鬘 】
伝統色のパーソナルカラー、スプリングさんにぴったりな、華やかな配色です。
袋帯 | 紫紘 宴の橋
- 素材 正絹
- 幅 8寸2分仕上がり基準
- 季節 袷
- TPO 礼装に